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オウケイウェブ

オウケイウェブOKWave代表 兼本 謙任(かねもと かねとう)さんのケース

「思い」を組織に結実
~コンプレックスとの格闘から生み出される新しい世界~


紹介
 「OKWave」( http://okwave.jp/ )は、2000年1月にスタート、株式会社 オウケイウェブが運営する「Q&A」の形式を使ったコミュニティーサイトだ。参加するためには会員になる必要がある。2011年2月現在、会員数は190万人以上、過去にやりとりされた2400万件以上の質問と回答を参照できる。

 例えば大手ポータルサイト「goo」でも採用されている。ロボット型検索エンジンは非常に便利だが、その一方で不必要な情報も多量に取り込まれており、本当に重要な情報を見つけ出すのには手間がかかる。こうした時活躍するのがOKWaveのシステムだ。投げかけられた質問に精通した回答者が、その問いかけに答えてくれる。人間を介して発見された情報には融通が利くものが多く、利用者はロボット検索とは一味違う情報を活用することが出来るのだ。

 このシステムは代表者の想いが具現化したものとも言ってよく、彼の壮絶な半生抜きには語ることは出来ない。以下は株式会社オウケイウェブ、代表取締役社長の兼元 謙任(かねもと かねとう)がOKWaveを創業するに至った経緯である。愛知県立芸術大学出身、昭和41年7月生まれ。彼の発想と行動の原点を探る。

幼いころの思い出

 不思議な運命を背負っているのかもしれない。幼少時から体が弱く、入退院を繰り返していた。小児喘息になったり、筋力がなくなったり、昏睡状態に陥ったり。中学生にもならない時から、死ぬことしか考えていなかった。病院通いを強いられる中、兼元のことをずっと見ていた老婆がいた。そして彼女からこう宣告される。
「あなたは前世で人を沢山殺している。それも酷いやり方で。今はその償いをしている時。病をわずらい、針をさしたり、メスを入れられたり・・・」

この瞬間、さらに深い落胆に襲われ、もう自殺が避けられないように感じた。老婆は話を続ける。

「でもね、この試練はあなたの一生のうち、前半で終わる。後半は人のタメになる良い行いをするから、今は決して自ら命を絶つなどということはしてはいけませんよ。」

 この話が兼元に与えた影響は大きかった。得体の知れない恐ろしい話ではあったが、何とか生き抜く決意を固めることが出来た。そして25歳、病気は嘘のように治まり、兼元の活動に支障をきたすことは無くなった。そこからの余命は25年だけかもしれないという、予言が成就する可能性を残して。

ジョン・レノンとの出会い。

 兼元がQ&Aを大切にしたいと思った契機は、ネット上での強烈な失敗の体験にあった。ある時、インターネットを始めようと思い立ち、本を読んだ。そこには「インターネットはパラダイスである」と謳われていた。「質問を投げかければ、誰もが懇切丁寧に答えてくれる。いつのまにか誰もがプロフェッショナル並みの知識をもつことができる。」

 ネットの経験がなかった兼元はこの話を純粋に信じてしまう。そして、あるサイトで質問する。「インターネットで質問すれば、デザインとコンピューターを掛け合わせて何か面白いものを作るヒントを得られるのではないか」という思いからだ。しかし、これが思いがけないトラブルを引き起こした。

 「今思えば、夢物語を信じてしまっていました。やはり実際のネットはそうではありません。言い方が悪かったのだと思うのですが、回答を寄せてくれるはずの方々は冷たかった。」

 彼らは「マナー」がなっていないとして、彼に総攻撃を加えた。質問に対する答えのかわりに、「利用規約を読め!」「アーカイブを見てから質問しろ!」。初心者が対応していることなどお構いなし。面白がって叩いていた者も当然いたはずである。結局目的は果たせないまま、そこから身を引かざるを得なくなってしまった。

 こうしたトラブルを経験した後、「この仕組みは少し変なのではないか。デザインが得意な人間でも、コンピューターのコミュニティーに参加して何らかのインスピレーションを得ることは必ずある。」と感じた。しかし、跳ね返り者の性格が災いしてか、そんな思いを抱きながら会社を転々とする。そしてついには浮浪者のような生活を、その後実に2年以上もの間余儀なくさせられた。しかし、この間にもネットのコミュニティーについていろいろな思いを巡らし続ける。そしていつしか、自らの理想となるサイトを、自分で作りたいと思うようになった。

 不遇の生活を送りながらも、考えを温め続ける。「専門外のコミュニティーで質問できる場を作れば、きっとすごいアイデアがたくさん生まれてくる。そのためには、Q&Aを並べて問いと解答を俯瞰する場所を作りたい。自分の専門外のコミュニティーで何かを聞いても、他にある、自分の専門の場で解答を書いて貢献すれば、フリーライダーにはならない。」

 そんな思いをずっと抱いていると、不思議なことがあった。兼元は、ジョン・レノンの‘イマジン’を好んで聞いていた。「野宿生活をしていた時には心の支えのように、本当に何度も繰り返し聞いていました」と彼は語る。するとある時突然、外国人のプログラマーが現れ、彼の話を聞き、アイデアを実現させるプログラムを無料で書いてくれることになった。そのプログラマーが、ジョン・レノンそっくりだった。それから彼のアイデアが現実に動き出すことになる。

心の傷と企業

 起業家が自らの夢を実現しようとする時、周囲からまるで偏執狂のように見られることがある。起業家の偏執性は一見病的だが、自らの夢想的な目標に対して愚直と言えるほどの誠実さを見せる。兼元の場合、コミュニケーションに対して壮絶なこだわりを見せている。

 それにもかかわらず、彼のコミュニケーションは不思議なほどうまくいかなかい。上のケースには書かれていないが、学生時代には「グローバルブレイン」というデザイナー集団を立ち上げている。

 しかし、これからという時、根も葉もないうわさが流れた。「あいついろいろやっているけど、あそこまで一生懸命にやるのは何か変じゃないか。」「グローバルブレインが世の中に出たら誰が得をすると思う。兼元だよな。だからやっているんだよ。僕らは利用されているだけかもしれない」。仲間のために身を削る思いで10年間頑張ってきた。でも、疑われてしまった。教授との関係も良くなかった。大手自動車会社に内定が決まっていた卒業発表直前の夜、電話がかかってくる。「お前だけは絶対に卒業させない」。

 そこからOKWaveを設立するまでは上の通りだ。その過程でも、共感を得ることに大変苦労している。どれほど自分の夢に誠実であったとしても、気づくことの出来ない自らの落ち度とは付き合いざるを得ない。

 異彩から生み出された閃きをひっさげて、みなぎる自信は、彼を精力的な活動へと導いた。だが清新すぎる活躍は不信を呼び、いつしか集団の中の異物となってしまっていた。仲間は去って行き、悩み、抑鬱的になる。解決へと繋がるきっかけは、神の啓示を思わせる「ジョン・レノン」との衝撃的な出会いだった。兼元には‘コミュニケーション’というどうしても譲れない拘りがある。だからこそ人が集まった。だが、だからこそ自殺をも辞さない激烈な挫折に直面させられた。それでも諦めない。そして紆余曲折を経て、彼は自らの思いを見事な企業へと昇華させる。まるで異物の痛みを和らげるために真珠を育てるかのごとく、彼は心の異物を中心に、強く秀麗な組織を創り上げた。

ベンチャー企業創出支援

 「起業家が経験した創業以前の深い体験は、その後の企業文化に大きな影響を与える」とする研究が近年数多く行われている。こうした‘起業家醸成期’を精査すると、時に解決不可能に見える困難や病気、さらに無気力状態までもを窺い知る事がある。起業家はそのような苦境を克服し、自らの価値観を見い出し、事業を魅力的なものに仕上げている。

 単に成功しそうなアイデアを出すだけならば、誰にでもすぐに出来る。しかし、それでは偏執症と思われるほど事業にのめり込む事はない。一方、運良くのめり込める対象を見つけたとしても、そこには大きな困難が付きまとう。革新的起業の代表とされる3Mでさえ、そのような人はいぶかしい目で見られるのだという。また、熱中している対象は、兼元の場合のようにコンプレックスとの格闘そのものかもしれない。そこに正常でいられる保証はない。

 ベンチャー創出のためにはこの過程を支援する必要がある。そのためには、起業家の苦悩を観察し、そこに光をあてる作業が肝要となる。そうする事で、困難にぶつかった者をサポートするノウハウを整え、勇気付けの仕組を作ることが出来る。

 決して見逃してはならないそのための基盤が存在する。それは‘安全の確保’と‘自らを映し出す鏡’の存在だ。兼元の場合、老婆から教えられた不思議な物語が「自ら選ぶ死」という危険から彼を解き放った。うかがい知る事が出来ない自分の落ち度を、離れていった仲間達が映し出した。落胆し、何も手に付かない時期も続いたが、そうした苦境の中から紡ぎ出した使命感が彼を何度も鼓舞し、今、ビジネスの世界で仲間とともに飛躍の只中にある。

 「夜と霧」の作者、ヴィクトール・フランクルは、「(こうした)自分だけに固有な使命の体験ほど、人間を、自らを超えて高く引き上げるものは無い。」と述べ、自らの強制収容所から生き残った体験と観察とをもって、世に例証した。人生から投げかけられた問いに対して答えを出した時、受難の最中に見つけた光明に向かい快哉を叫ぶ瞬間、天命の啓示を受けたともいうべきその体験が、自分のなすべきことに没頭する真の人生の産声である。兼元の使命発見の過程は苦境の只中にいる者たちを強力に励ますストーリーとなり、彼らを勇気付け、世の中を賦活化させていく力になる。(敬称略)
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テーマ : 経済 - ジャンル : 政治・経済

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