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『生きるとは、自分の物語をつくること』小川洋子、河合隼雄



 普通の人が花が美しいとか星が綺麗だということで感動するように、数学者は数の世界の美しさに感動する。『博士の愛した数式』の小川洋子と河合隼雄との対談。少し大きめな字で描かれた150ページの小さな本は、数時間程度で軽く読むことが出来る。

 京都の国立博物館の担当者が、布でできた文化財を修繕する時の話が印象的だ。丈夫な布ではなく、文化財の傷み具合の弱さに合わせた布を選ばなければ、逆に文化財を痛めてしまう。臨床家も同じである。使命に燃えて強い態度で弱きを助けようとはしない。患者と同じ強さで座っているのである。

 本書は河合隼雄の温かさを形にしたような本だ。身を切るような硬い文章に疲れていた私は、この本の優しさにずいぶんと救われた気がした。それは私と同じ強さで座ってくれている二人のおかげだったのだろう。

 そして河合は優しさの根本は死ぬ覚悟だと述べる。死ぬことを共有していれば、お互いが尊重し合える。相手のマイナス面でさえ受け入れられる。そこに物語が生まれる。

 人が生きていくとき、処理できない現実に直面することがある。それを自らの心の形に合うように形を変え、腑に落ちるものとするもの。そして、心を一つにする故に他人ともつながってゆくことを可能にさせるものが物語なのである。生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作り上げてゆくことに他ならない。臨床心理の仕事は、自分なりの物語をつくれない人を、作れるように手助けすることにあると河合は言う。

 物語は優しい。魂と魂との触れ合いを可能にさせるものは、お互いの限りある命に対する尊重する心だ。死は再生を象徴する根源的な優しさをはらむ。物語ることは新しい自分に生まれ変わる術なのである。
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