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『心的外傷後成長ハンドブック』第1章


『心的外傷後成長ハンドブック』第1章

 Samuel Johnsonの有名な言葉で「死を予感することは、物事を素晴らしく明確にする」というものがある。PTG(post traumatic growth心的外傷後成長)はその警句に沿う、素晴らしく勇気づけられる研究に溢れている。

 心的外傷体験に引き続くもがきを経験した人々は、親密感や人とのつながりが増すこと、本来の自分自身であろうとする感覚が強くなること、そして社会的には必ずしも望ましいとは言えない自身の一部や自身の体験についてさえも自己開示できるという感覚が強くなることを語る。これらは時に諸刃の剣になることもあるが、結果的にだれが真の友で、自分を見捨てずにより親密になれるのかが分かるきっかけとなる。

 そして人生において何が最も重要であるかについての価値観が変わることは、PTGとして体験される人生観における変化の一つである。人生や自分自身が既に持っているものに対して深い感謝の念が生じ、人生において何を中心に据えるかの感覚が変化することもまた、危機と向き合った人が良く報告する内容である。たとえば子供と過ごす時間のような内的なものに重きを置くようになり、大金を稼ぐような外的なものは大切でなくなる傾向が強いようである。人生の目的や意味を強く感じるようになること、深い満足を得ること、そして根源的で実存的な問いに対する答えが明確になることなどの経験をする。

 もちろん心的外傷に関する記憶は心地よいものではない。しかし、意味をより見出すためには心理的苦痛が必要なのだと著者等は断言する。ストレスの程度が高かったり、危機と関連した恐怖が強いほど、成長の程度も高いという研究がいくつか見られる。

 それでは外傷的であるとはどのようなものなのか。もしその人にとって不幸な出来事が、人生を変える分水嶺、つまり重大な分岐点のようなものだったとしたら、その出来事は外傷的であったと考えられる。

 PTGはどのように生じるのか。個人が広く様々な内容について反芻し、起きた出来事に対して意味を見出そうとするとき、PTGが生じる傾向にあると本書は述べる。

 また、Rose,2002では、PTGの条件を次のように述べる。まず第1に、心的外傷体験を開示した時に重要な他者がそれに対して反応を示すこと。第2に、心的外傷によってもたらされた反芻(何度もその状況について思いを巡らすこと)が、その内容や深さについて重要な他者とどの程度共有されているか、別の言葉で言えば「反芻の共有化」がどの程度起きているか。第3にPTGが文化的に理解されているという点、以上をPTGが生じる条件だとしている。

 個人がPTGに関する自己開示を行いやすいのは、成長のテーマが文化の語りの中にあり、重要な他者が自己開示を肯定的に受け入れてくれる場合であり、これらの条件がそろうとPTGが生じやすくなる。

 Weiss(2004)の研究では、乳がんに罹患した妻を持つ夫に対して、その体験から何らかの恩恵を受けた人を(妻以外に)知っているかという質問を行ったところ、「はい」と答えた人はそうでない人より成長を経験しやすい傾向があること(p<.06)が示されている。結論は出ていないが、PTGを既に経験した人がモデルとして周りにいるかどうかもまた、PTGに関連することをこれらの知見は示している。

 著者等は、PTGモデルや成長に関するテーマが身近な文化圏に存在し、社会からの圧力を感じずに(自然に)自己開示することができ、他者が自己開示に対して受容的かつ肯定的に受け止める土壌がある時、PTGが出現しやすいとしている。

 心的外傷について(悪夢による侵入ではなく)自らの主導権を回復するために、何度も思いを巡らすこと(反芻)。トラウマに意味を見出すこと。そして心的外傷体験の自然な自己開示を行い、自己開示が重要な他者によって受容されること。それらがPTGの条件なのだと読み取ることが出来る。
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