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エドワード・L・デシ リチャード・フラスト『人を伸ばす力』



 二十世紀中、最も偉大な美術教師ロバート・ヘンリはこう述べた。「絵を描くことの目的は、絵を完成させることではない。真の芸術活動の背後にある目標は、存在の本質的状態(a state of being)に到達することである。」つまり、自らの存在意義に没頭しているときの精神の高揚、それこそ仕事の真の意味だとこの偉大な著作者らは考えているのだ。金を稼ぐとか絵を完成させるというような何かの目的に到達することとは副次的なものにすぎないのである。そこにヘンリは「普通に存在している以上の状態」を見出す。そして、絵を描くことに内発的に動機づけられている人は、単に精神の高揚を経験するだけでなく、真の芸術を生み出すのである。

 しかし残念ながらこうした状態は長くは続かない。非常にもろく儚いものだと言わざるを得ない。生得的なこうした意識はどのようにしたら伸ばすことが出来るのか。既存の教育には供えられていないこの力への研究意識がデシの出発点であった。

 デシが見つけ出したそのための要素は自律性・有能感・関係性の三つとなる。以下ではそれらについて見ていく。

 うまくこなせる、という感覚は非常に重要だ。その感覚が生涯の職業に導く担い手になることもある。彼らは、仕事に打ち込めば打ち込むほど、そうした感覚を得られることに気付き、一層大きな内発的な満足を経験するだろう。有能感は他者が強いた選択ではなく、自らの意思によって選択を行い、物事に習熟したり自分自身の有能さを確かめようとして意欲的に活動するときにもたらされる。トップである必要も、Aの成績を得る必要もない。自分にとって意味のある挑戦を見つけ、ベストを尽くすことが重要なのである。

 重要なことは、有能感には自律性が伴わなければならないということだ。デシは「有能な操り人形に、人間性が育つことはない。そのような有能感には人生の本質が欠けている。」と述べる。有能感と自律性は互いに補い合うことで成長を支える力となり、人々の達成や生涯にわたる学習を導くのである。

 人は効果的で自由でありたいと望むだけでなく、他者と結びついていたいとも願っている。これが関係性への欲求である。カール・ロジャーズは「他ならぬ自分自身へと近づいていくプロセスに完全に没頭しており、それによって自分が、健全で現実的な社会性を持っているということに気付く」人を「完全に機能する人」と述べているが、自律性・有能感のほか、関係性もそのための重要な要素となる。

 デシが自律性・有能感・関係性の内発的動機付けの三要素の内、もっともページを割いているものは自律性である。人とうまく関係を築くことも、有能感を得ることも、「自己決定」をその前提としている。つまり、自らの決定した事柄を核に関係を築き、有能感を持つのである。絵を描きたいという思いがあってこそ、一人では達成不可能な務めが生まれ、人との絆が必要になり、コンピタンス(有能感)を育てようとする。自律性こそ、著者が考える動機づけのコアであると言えよう。

 本書の豊富な事例とすぐれた考察力は特筆ものであり、何度も読み返す価値がある。D・ゴールマンをして現在最も重要な心理学者だと言わしめる。誰もに薦められる著作であろう。
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コメント

普通に存在している以上の状態

私も先日図書館でこの本を借りてきて読んでいます。
「普通に存在している以上の状態」と言う言葉に特に惹かれて検索したらココにたどり着きました。1回読んでは理解できないので購入して折に触れ読んでみたいと思います。デシとの出会いは、森本哲郎著 「生き方の研究」の中にたぶん出てきたもの繋がりで出会ったのだと思います。私は本はあまり読まないほうですがこれからも色んな良書に出会えたらいいなと思います。

Re: 普通に存在している以上の状態

コメント誠にありがとうございます。『生き方の研究』も非常に興味深そうなので、アマゾンで注文させていただきました。「普通に存在している以上の状態」とは、チクセントミハイのフローに通じるのではないかと考えています。私もその部分、とても面白いと思いました。また是非、当サイトを訪れていただけましたら幸いです。

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